民主党はなぜ負けたのか

そもそも、総得票数などからみて「負けた」のかどうかに議論もあるが、多くの議席を失ったのは確かだということで、ここでは「負けた」と考えることにする。

さて、負けたことのたった一つの理由などというつもりもないし、理由は一つではないと思う。
そのなかで、大きな理由の一つと思えるのに、あまり論じられていないものを指摘してみたい。

日本人は、先の衆議院総選挙で、民主党に政権を渡した。
しかし、民主党にすべてを委ねようとまで決意していたわけではない。

一方、民主党は、政権交代の効果を早く出さなくてはならないという焦りからか、数多くの法案をごり押しで通してきた。
この姿は、確たる民主党支持ですらない無党派層の多くにとって、危険な姿として映ったのではないだろうか。実際に、選挙後に望む枠組みとして、「民主党を中心とした政権」を望む声は多い一方、単独政権を望む声は少なかったころからもうかがい知れる。

そう考えると、今回の敗北は、民主党にNoを突き付けた人による部分もあるだろうが、同時に、「勝ちすぎは怖いな」という消極的な支持・不支持の層が、勝ちすぎを恐れて第3極と思しき「みんなの党」に流れたり、バランスを取らせるために最大野党の自民に入れたりという部分がかなり大きいのではないだろうか。

消費税云々や官僚に支配された姿がなどと言われているが、何れも自民党に票が戻った理由にはなりえないわけで。

というわけで、ねじれ国会が問題という意見もあるが、実は多くの国民は、中庸を好み、大きな変化は好まない(と私は見ている)わけで、ねじれ国会をこそ望んでいた有権者も多いのではないかとも思う。

サンダーバードではないが、災害救援部隊を作ってはどうだろうか

ハイチでの大地震がニュースになっている。とても痛ましい災害であり、地震国に住む身として決して他人事とは思えない。

各国からの救助部隊が到着し始めているころだろう。日本からの支援体制はどうなっているのだろうか。特に地震被害の場合、迅速な救助活動が求められるわけだが、日本にはそのような早い対応をできる体制が整っているだろうか。自衛隊の派遣となると、色々な国内外の政治的な問題も絡み、すぐさまというわけにも行かないことが多いだろう。

もし、日本に、災害援助・救援の専門組織があったらどうだろうか。

  • 規模は、最初は数百人程度でも良いだろうし、場合によっては数千人規模でも良い。
  • 専用の、もしくは直ちに使用可能な輸送機を最低1機、ヘリも相当数用意する。
  • 軍隊としての性格を持つ自衛隊の下に置くのではなく、独立の組織、または消防庁の下に置く。これにより、政治的に微妙な地域への救援活動も迅速に行うことができるだろう。

要するに、サンダーバードの国際救助隊的なものである。

お金がかかる?もちろんそれなりのお金はかかる。でも、国防費(国を守るための費用)と考えたら、自衛隊にかけている数十分の1のお金で、ずっと大きな効果を発揮するはず。

  • 国内の災害発生時への対応も、自衛隊以上の機動力と専門の訓練により大きな効果を発揮する:直接的に国民を守る
  • 国外の災害にも迅速に対応することにより、国際社会において、憎悪ではなく、感謝・尊敬の対象となる:間接的に国民を守る

911のテロからも学んだように、アメリカほどの軍事力を持ってしても、国家は守れても国民を守ることはできない。
アメリカに追従し、アメリカの非道に異を唱えるどころか諸手を挙げて賛同したイラク戦争でのあり方が、日本を安全にしただろうか。「テロとの戦い」なるものに乗っかって給油活動をすることは、本当に日本が国際社会に貢献したと認められるようなことなのだろうか。
万一アメリカにとって日本が邪魔な存在となり、アメリカから非道な扱いを受けたとき、誰がそんな日本を助けようとしてくれるだろうか。
自業自得だと笑われるのが関の山である。

国家も国民も守るのは、結局のところ、憎悪の対象とならないこと、そして万が一の場合には助けるに値する国であると見なされていることではないだろうか。政府開発援助も、JICAのような活動も、そういった意味での国を守る活動でもあるといえるだろう。そして、国際救助部隊が活躍する日がやってくれば、その効果はこれらの活動に負けないほどの効果を発揮するだろう。
情けは人のためならず。

追記

やはり、散々既出ですね。

既にあることはあるのですね。id:tanasumiさん、情報ありがとうございます。

http://www.jica.go.jp/jdr/about.html
その割りに、プレゼンスが大きくないというのは、やはり運用上の問題でしょうか。
要請を受けてから24時間以内の出動というのも、緊急という意味ではいまいちですね。
既存組織からの召集というのは、現実的解決策として悪くは無いと思いますが、第1陣に必要な人数くらいは常勤がいても良さそうです。
あとは、要請を受ける前から準備をし、要請があり次第即時出られる(結果として要請が無くて無駄になることも覚悟で)ような仕組みも必要そうです。
というわけで、質のレベルでは既に高いものだと思うのですが、せっかくですので、政治的な部分も含めて、仕組み・運用と規模の面で、「世界でもNo.1の日本の国際緊急援助隊あり」といわれるレベルであって欲しいと思います。
(無論、国際緊急援助隊に関わっている方々のこれまでのご尽力と成果を否定するものではありません。)

同じような提案の書籍も教えていただきました。id:wacknnpapa さん、ありがとうございます。

http://www.nippyo.co.jp/book/721.html

NHK BS2「“認罪”〜中国 撫順戦犯管理所の6年〜」 制作:テムジン

途中から観たが、非常に良い番組だった。

中国における戦犯の扱いについて、全く無知であったことを知らされた。
シベリアから移された日本人戦犯が、どのように扱われ、どのように感じ、どのように帰還し、その後どう暮らし、今どう思っているのか、更に、中国側の関係者の証言や、資料も丹念に集められていて、圧巻というほか無いものだった。

戦犯を断罪し溜飲を下げる代わりに、自らの罪を認識させ、悔悟させ、その上で寛大な処置をとるというやり方は、日中に今でもいる憎悪の応酬にとらわれている人たちと比べて、如何に未来を明るくするものであったかということを感じさせられた。
もちろん、政治的意図や、非人道的な面など、手放しに褒められたことばかりではないということは前提としても、トータルにみて、いい意味で大人の対応であったと。

特定アジアなどという言葉を使って、憎悪のスパイラルを募らせる人たちにも観て欲しい番組。
また、厳罰化を追い求める人たちにも。

まあ、これを観ても、偏向だと騒ぎ立てるだけの人もいるかもしれないが。

追記:
史実は一つでも、見方によっていろいろに見えるという例。
http://www.youtube.com/watch?v=RAdq0kAn24o
テムジンの制作したドキュメンタリーは、手放しで賛美する内容では決して無く、淡々と証言や事実を連ねていた。
もちろん、客観や中立なんてものは幻想に過ぎないわけで、どちらかというと好意的な立場ではあったと思うが。
一方のチャンネル桜は…。

刑事万歳ドラマを観て

テレビ朝日が、何やら警察万歳番組をやっている。
だが、今回、敢て帝銀事件に関わった刑事を取り上げ、英雄化している。
(英雄化をしているわけではなく、清濁合わせて描いているとも取れるが…。)

警察が用意出来た材料では、平沢氏の有罪をとてもじゃないが立証出来ていないと私は思うのだが、そんな事案の警察側の姿を書いているのは、どういう魂胆があるのだろうか。それでも警察は悪くないというプロパガンダなのか、それとも、頑張っているようでも冤罪を生み出す罪深さを皮肉っているのか、それとも?

足利事件の件の後だけに、ちょっと勘ぐりたくもなってしまう。

偉そうにしていても、裁判官も警察官も、やり方を間違えて、無実の人を死刑にしたり、獄死させれば、ようするに人殺しなわけで、その怖さを分かっていてそれでも間違いを犯してしまったなら、それはそれでやむを得ない面もあるのかもしれないが、そういう怖さを分かっていない裁判官がいたら怖すぎる。

思いついたけど今は書く気力が無いので、いつ書くかもしれない日のためのメモ

多分いずれのネタについても書かずにそのまま放置の可能性大。

毎日新聞をはじめ、ネットに記事を公表しているメディアにお薦めしたいこと

発電装置:太陽光や風力より効率良く、電磁力で電力供給−−木下さん開発 /神奈川 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090319ddlk14040128000c.html

として、毎日jpに、永久機関を騙る装置の紹介記事が掲載された。
もちろん、最低限の科学知識があれば、これが典型的な永久機関の類型に過ぎない、つまりあり得ない話であることは一読で判るだろう。
そして当然ながら、それを指摘するはてなブックマークが多数付いた。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090319ddlk14040128000c.html
そして、それから2日経った21日になっても記事は取り下げられていないようなのが、また驚きである。

そもそも、こんな記事が出てしまわないように、社内に科学記事に付いてきちんと考証出来るスタッフを置き、判断がつかない場合の外部アドバイザーを確保するのが、マスメディアとしては当然のことだろう。
とは言え、やはりそういった内部チェックの目を漏れてしまうことというのも、時には防ぎ得なかった場合が出てしまうというのも現実だろう。

そこで提案したいのは、ネットに記事を公表するメディアは、自分の所の記事についてのソーシャルブックマークをチェックする仕組みを作ったらどうだろうか。そうすれば、数多くの人が間違いに気付いた場合に、「知らぬは己ばかりなり」ということにならずに済むわけで、しかも、内部チェックの強化よりは遥かに低コストに実現出来るのだから。つまり、チェックするコストを、ブックマーカーがボランティアで負担してくれるという、都合のいい話なのだから。

もちろん、記事にコメント欄をつけるというのも似た戦略だが、その場合、許可制だと敬遠されるだろうし、自由解放にすると炎上で収集が付かなくなる危険が大きすぎるのではないかと思う。

ブックマークコメントが信用ならないという面に付いても、たいして難しくない基準で大まかなノイズカットはできるだろう。
例えば、どんな記事にも反対するようなブックマーカーは、そのブックマーカーが正しいかどうかは別として、自社の編集方針そのものと合致しないものということで、フィルターで除いてやることもできるだろう。その他にも、不自然に連続した類似したコメントについてはマルチアカウント利用のspam的な行為を疑って除いたりするのも良いだろう。このようなフィルターをかけて、場合によっては更に自然言語処理によるスコアリングで、多くのブックマーカーから誤りを指摘されている可能性を判定しても良いだろう。その上で、危険性のある記事だけにでも、記事の内容と、それを批判するブックマークコメントのいずれが妥当なのかを冷静に検討するのだ。

2chの自社関連スレを監視している企業は少なくないと聞くが、これからは、少なくともメディアは、ソーシャルブックマークもウォッチ対象してみれば?という話である。その他の企業もそうだが、特にメディアは。

誤報の検知というだけの意味ではなく、活用の方法と方針次第では、メディアのあり方そのもののパラダイムまでも変えうるだろうし、そこまで行かなくても、書き手にとっての良い勉強にもなるのではないだろうか。

まあ、マスコミのお偉い記者様やデスク様は、下々が書いたコメントなどから学ぶつもりもないのだろうが…。