ありがとう、自衛隊員さんたち!

自衛隊員の皆さんの、今回の震災に関しての献身的な活躍に対して、心から感謝し、尊敬します。
一方で、「ほら、自衛隊必要だったじゃん」とか「自衛隊要らないって言ってた奴は…」というような一部での論調には眉に唾をつけざるを得ないのも正直なところ。

これとかこれとか、枚挙にいとまがない。

なぜなら、今回の自衛隊の活躍は、自衛隊の代わりに、災害援助隊であっても果たせたものであるから。

災害援助隊なら、自衛隊の半分以下のコストで、同等の災害援助が可能になるのではないかと思う。具体的に正確な数字をたてて精密な検証をしたわけではないので、断言するのは確かにちょっと無理があるが。

防衛関係費の内訳

この資料を見ると、防衛関係費に占める人件費の割合は45%程度である。

自衛隊

自衛隊の定数は陸海空を合わせると約25万人弱で、定員充足率が9割としても20万人超である。
災害援助隊であれば、その人数は15万人程度までに減らしても今回と変わらない程度の活動は可能だろう。更に、常勤の比率は下げて、一定の訓練を受けた後に定期的なフォローアップ訓練を続ける予備役的な位置づけにする割合も増やせるだろう。例えば、半数を即日対応可能な常勤に、残りの半数を3日以内に応集する予備役にするといった具合に。更に、消防とのオーバーラップを考えれば、常勤者のかなりの部分は平時は消防のレスキュー隊等に所属するかたちも可能だろう。

こうして考えると、人件費の部分でも、災害援助能力を下げずに、現状より大幅な削減は可能ではなかろうか。そして、その他の装備に関して言えば、イージス艦や戦闘機と言ったべらぼうに高価な装備は不要で、輸送機や輸送ヘリ、無人偵察機などに絞れば、その削減額は非常に大きいはずである。また、立地対策関係の予算も、もちろんほぼ不要になる。

というわけで、半額で出来るというラフな見積りに、それなりの自信はある。

そんな部隊を用意して、一体普段はどうするのという話にもなり得るが、もちろん、世界中に派遣するのである。世界中で見れば、大規模災害は毎年のように発生している。需要は十分である。
そして、その活動は、以前にも書いたが、なによりも日本を守る効果が非常に大きいはずである。現に、今回の震災に際して、世界で何が起こったかを考えればよくわかるはずである。世界中の多くの国の人々が、自身の生活も厳しいのに、身銭を削って日本に支援を寄せたのは、これまで、日本が行ってきた支援があったからこそである。これを更に拡大して、世界でダントツの災害支援部隊を持ち、世界中で更なる貢献を続ければ、何が起こるか、想像に難くない。
そのような貢献が積み重なれば、万一危機に乗じて日本を武力で占領しよう、領土をかすめ取ろうという国があったとして、国際社会がそれを許すだろうか?
米国の尻馬に乗って、道理に関わらず後方だからと国際紛争に参加するというようなことを続けていては、いくら軍事力を持ったところで、国民の安全を守ることが可能だろうか?そして、侵略されたときに国際社会は守ってくれるだろうか?
PKO国際紛争の場に日本が人を出さなければ「金だけ」と非難されるという理屈はよく聞かれる。しかし、災害救助が命を張った崇高な使命感なしにできないことは、今回の自衛隊員の皆さんがおかれた厳しい環境からも明らかであろう。災害救助活動に世界ダントツの貢献をしていれば、PKO国際紛争の場に日本が出ていかないことを「金だけ」と言って非難することなどできようはずもない。

軍事力で国民を守ることができないことは、世界中の人が911で学んだはず。そして、情けは人のためならずということを311で実感した日本人は多いはず。

もちろん、全くの丸腰でいいとまでは言わない。海保を強化した沿岸警備隊くらいは持っておくといった、ある程度の防衛力というのはあってしかるべきだろう。
(どのみち、中国と正面武力衝突して勝てるレベルの軍備なんて現実的とは思えないわけで。)