権威付けされた誤解の一人歩き

息を手のひらに吹きかけると、その吹き方によって温かく感じたり、冷たく感じたりすることは、誰でも経験があるはず。

もともと、息は肺の中で温められているので温かいはずで、ハーッと、太い息をかけたときに温かく感じるのは、特に考えるまでも無く理解できる。

では、フーッと、細い息にしたときに冷たく感じられるのはどうしてだろう?

  1. 細い息だと、速い流れになるので周りの冷たい空気を巻き込むから
  2. 手のひらの汗が気化して気化熱を奪う

このような理由だと思っていた。

ところが、一部で、とんでもないことが信じられているようだ。

曰く、

フーッと吹くときは、口の中で空気に圧力がかかり、口から出ると圧力が下がって体積が増え、断熱膨張により温度が低下する。

しかも、大学教授が、そのようなことを言っていたりする。*1

嘘だろ、と思いつつ別のソースを探すと、やはりいろいろ議論があるようだが、一応の決着を見ているようで、ほっとした。*2

やはり、周りの空気を巻き込むことが主要因のようだ。
しかし、断熱膨張説も、まことしやかに、しかも権威付けされた形で広まってしまっているようだ。
どうしても、偉い?先生が本に書いたことというのは信じられやすいものなのだろう。
ましてや、なにやら難しい理論(断熱膨張)を持ち出しつつ、且つ実例(雲ができる原理等)もまじえつつ説明されると、なんとなく納得させられてしまう。

ということで、本に書いてあることでも丸呑みに信じるのは危険なことだなぁと、改めて実感した次第。
また、今回の例は、偉い先生の勘違いに基づくものだと思うが、怪しげな商品を売るトンデモ健康商法の説明に見られる疑似科学的説明が信じられてしまうことと似た仕組みのように思える。