原発必須だよね常考

脱原発なんて、思考停止もいいところ。余りに現実を見ていないお花畑だ。
原発を止めたら電気がめちゃくちゃ足りなくなるし、無理に原発以外で賄おうとすると電気代が何倍にもなってしまうという事実を直視していない。

脱原発論に関してしばしば出てくる意見だ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/togetter.com/li/116621
元のtogetterのめちゃくちゃさは置いといても、それについたコメントにも上記のようなものが散見される。

これって本当なの?

このようにいう人たちは、日本のエネルギー消費の何割が原発でまかなわれていると思っているのだろうか?
5割?7割?それ以上?
まず、電力だけに限ってみよう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB
2010年時点で、日本の電力の約23%が原子力とある。もちろん、ピーク時電力も大切なので、そこまで見ても約3割。
さて、原発が本当にとても安いものだとしよう。色々な試算があるようだが、ここでは、思い切って、コストゼロだとしてしまおう。
さて、コストゼロの部分を、他の方法で賄うとして、残りの全ての平均と同等のコストで賄うと、全体のコストはどうなるだろうか?
1/0.7= 1.42倍
になる。あれ?原発はタダというトンデモ仮定をしてさえ、2倍どころか1.5倍にもならない?
ということで、あまりにもナンセンスである。
原発以外の発電方式の、今後の追加コストは現状よりはるかに大きいというデータでもあれば別だが、実情はむしろ天然ガス発電の発電効率もかなり上昇しているので、逆だろう。)

それどころか、少なくとも比較的短期的に見れば、コストはそれほど上がらないどころか、今後厳しくなる安全に対する要求基準を満たすためにコストアップが必至の原発より安い可能性さえ高い。

そして、原発を全て直ちに止めろ!とまで言っている人は、脱原発を唱えてる人の中でも一部に過ぎないことも念のため。

化石燃料なんてそのうち無くなるじゃん!

とはいえ、資源がない日本で火力などに頼るのは危険すぎる?
ちょっと待ってほしい、2002年の日本の一次エネルギー消費に占める原子力の割合は15%ですよ(前出のWikipedia)。
この部分を他のエネルギーに変えて大変なことになるくらいなら、85%を既に他のエネルギーに頼っているのはとんでもないことですね。
大変だ、日本から逃げ出した方がいい。
でもどこへ?フランスでも行きますかね?
フランス以外の殆どの国では、実は原子力は全エネルギーのごく一部しか担っていないんですよ。

もちろん、化石燃料にいつまでも頼っていられるかどうかは危い。
メタンハイドレートや、シェールガスと言った新しい天然ガス源があると言っても、前者は実用化できるか不明だし、後者の埋蔵量も無尽蔵というほどではない。
したがって、短期的には火力と省エネ化で賄い、長期的には代替エネルギーによる発電を実現していかなくてはならない。

風力は公害の問題が大きいし、日本の国土では大きな期待はできないのは確からしい。
バイオマスも、少なくとも当面はエセロジーでしかない。
太陽電池は、当面は、火力の数倍のコストがかかり、あまり現実的ではなさそうだが、もういくつかブレークスルーで追いつけるくらいまで迫りつつある。
地熱については、従来の方法は公害や温泉との競合、資源総量ともに大規模化にはなじまないようだ。マグマの熱を直接利用する方法は、Wikipediaによると、未実用化段階だが、実現すれば資源量・コストともにかなり有望らしい。
(ちょっとググった範囲では、眉つばっぽい面もあるが。)
潮汐や海流については、資源量は十分あるだろうが、エネルギーの取り出しコストが見合うかが問題。

いずれも実用化出来てないじゃないかという話になりそうだが、これらの非原子力の新エネルギーに対する研究開発投資は、非常に限られてきた。
国策として原子力ありきで、核融合を含む原子力関連にこれまでに費やされてきた研究開発費と比べれば桁が違うレベルだろう。(正確な統計はないが。)
もちろん、民間企業も投資しないんだから、それはペイしないことの証拠だと言えないこともなさそうだ。

しかし、今回の福島原発の事故を受けて、世界中で原子力開発が失速するのは決定的な状況である。
ここで、新エネルギー開発に大きな投資を行うことは、単に国内の需要を賄うためだけではなく、この分野で先んずることは、この先数十年〜1世紀単位での最重要分野の一つで優位に立てるということにもなる。

国がやるのもいいですが、資本力が十分あるトヨタさんあたり、どうでしょう?
既に小遣い稼ぎもしくは、エコスタンドプレー的に取り組んではいるようですが、本腰をいれてやってみませんかね。

新エネルギーがらみは、電力会社は腰が引けているし、輝かしい未来を断言する情報源はかなりトンデモっぽさがあり、なかなか実際のところどうなのかにいたることができず、根拠薄弱なストーリーになってしまった。公開がためらわれるお粗末さながら、ここいらで、ちゃんとまじめに考えてみ<てもいいんじゃないかというスタートのきっかけとして恥ずかしながら公開。